犬の精巣腫瘍とは?症状・治療法を獣医師が解説
- Jan 02,2026
犬の精巣腫瘍ってどんな病気?答えは去勢していないオス犬に多い腫瘍です。特に10歳以上のシニア犬でよく見られますが、早期発見すれば治療可能なケースがほとんど。私のクリニックでも毎年数件の症例がありますが、飼い主さんが愛犬の精巣を定期的にチェックしていると、小さなしこりの段階で見つかることも少なくありません。この記事では、精巣腫瘍の見分け方から治療法まで、実際の症例を交えながら詳しく解説します。愛犬が去勢されていない場合、ぜひ知っておいてほしい情報ばかりです。
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- 1、犬の精巣腫瘍ってどんな病気?
- 2、愛犬にこんな症状が出たら要注意!
- 3、精巣腫瘍の原因とリスク要因
- 4、診断方法と検査の流れ
- 5、治療法と手術後のケア
- 6、予後と再発予防
- 7、犬の精巣腫瘍とホルモンバランスの関係
- 8、潜在精巣(停留精巣)の危険性
- 9、犬種別リスクと遺伝的要因
- 10、高齢犬の精巣腫瘍ケア
- 11、飼い主さんができる早期発見のコツ
- 12、FAQs
犬の精巣腫瘍ってどんな病気?
精巣腫瘍の基本知識
あなたの愛犬が去勢されていないオス犬なら、精巣腫瘍について知っておくべきです。これは高齢の去勢していないオス犬に最もよく見られる腫瘍の一つ。精巣は精子を作るだけでなく、テストステロンなどの男性ホルモンも分泌しています。
腫瘍は細胞が異常に増殖することで発生します。放置するとどんどん大きくなってしまうことも。でも安心してください、多くの犬は若いうちに去勢されるので、実際にはそれほど多くはありません。
良性と悪性の違い
精巣腫瘍には良性と悪性があります。
良性腫瘍はがんではなく、精巣以外に広がることはありません。一方、悪性腫瘍はがん細胞で、最初は精巣だけだったのが、リンパ節や肺など他の臓器に転移してしまうことも。例えば、うちの近所の柴犬「ポチ」くんは10歳の時に精巣腫瘍が見つかりましたが、早期発見だったので手術で完全に治りましたよ。
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精巣腫瘍の3大タイプ
犬の精巣腫瘍には主に3種類あります:
| 腫瘍タイプ | 発生部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| セミノーマ | 精子を作る細胞 | 比較的転移しにくい |
| 間質細胞腫瘍 | テストステロン産生細胞 | ほとんどが良性 |
| セルトリ細胞腫瘍 | 精子を支える細胞 | ホルモン異常を引き起こしやすい |
この他にも脂肪腫や線維腫など稀なタイプもありますが、実際の臨床ではほとんど見かけません。
愛犬にこんな症状が出たら要注意!
見た目の変化
精巣腫瘍の症状は分かりにくいことが多いです。特に長毛種の犬だと、毛に隠れて気づかないことも。でも定期的に触ってチェックすれば、異常に早く気付けるかもしれません。
具体的にはこんな変化に注目:
・片方の精巣が明らかに大きい
・精巣にしこりを感じる
・陰嚢が腫れている
・乳首が大きくなる(メス化現象)
行動の変化
精巣腫瘍は見た目だけでなく、行動にも影響が出ることがあります。
うちのクリニックに来たゴールデンレトリバーのケースでは、オスなのにメスのようにしゃがんでおしっこをするようになったのがきっかけで腫瘍が見つかりました。他にも、毛が抜けたり皮膚が黒ずんだり、他のオス犬にモテるようになった(!)などの変化も報告されています。
腫瘍が悪性で転移している場合:
・元気がない
・体重減少
・食欲低下
・呼吸が苦しそう
精巣腫瘍の原因とリスク要因
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精巣腫瘍の3大タイプ
「うちの子は大丈夫?」と心配になりますよね。実は、精巣腫瘍の明確な原因はまだ分かっていません。でもいくつかのリスク要因が知られています。
年齢は大きな要素。10歳以上の去勢していないオス犬に多く見られます。犬種ではジャーマンシェパード、アフガンハウンド、ボクサーなどがかかりやすい傾向に。
予防は可能?
「去勢すれば100%防げる?」と聞かれることがあります。答えはYES!早期の去勢が最も効果的な予防法です。小型犬なら生後2ヶ月から、大型犬でも成長が止まる9-15ヶ月齢までには去勢するのがおすすめ。
でも大型犬の場合、成長終了まで待った方が関節やがんのリスクを減らせるという研究結果もあるので、獣医師とよく相談しましょう。
診断方法と検査の流れ
まずは触診から
精巣腫瘍は健康診断の触診で偶然見つかることも多いです。獣医師が「あれ?」と思うようなしこりや、左右の大きさの違いに気付くことがきっかけに。
ちなみに、片方の精巣しかない「潜在精巣」の犬も約13%います。これも腫瘍リスクを高めるので要注意。
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精巣腫瘍の3大タイプ
腫瘍が疑われる場合、次のような検査が行われます:
・レントゲン(胸部や腹部)
・超音波検査
・血液検査
・尿検査
「検査ってそんなに必要?」と思うかもしれません。ですが、腫瘍の種類や転移の有無を確認するためには欠かせないステップなんです。
治療法と手術後のケア
基本は去勢手術
精巣腫瘍の治療は基本的に精巣摘出術(去勢手術)です。悪性で転移している場合は抗がん剤や放射線治療を追加することも。
ただし、心臓病や呼吸器疾患がある犬は麻酔リスクが高いため、手術が難しい場合もあります。その場合は腫瘍の大きさや成長速度を定期的にチェックしながら、経過観察することに。
術後の過ごし方
手術後は10-14日間の安静が必要です。具体的には:
・エリザベスカラーを装着
・激しい運動は禁止
・傷口を清潔に保つ
私の経験では、元気いっぱいの子犬ほど術後の安静が大変。ケージレストや小さな部屋に隔離するなど、工夫が必要です。
予後と再発予防
治る確率は?
「手術したら完全に治る?」これが一番気になるところですよね。幸い、精巣腫瘍は転移率が低い傾向に:
・セミノーマ:15%未満
・間質細胞腫瘍:ほとんど転移なし
・セルトリ細胞腫瘍:15%未満
早期発見・早期治療ができれば、多くの場合完治が期待できます。
定期検診の重要性
悪性腫瘍だった場合、術後も定期的な検診が必要です。再発の有無を確認するため、3-6ヶ月ごとの検査をおすすめしています。
愛犬の健康を守るため、去勢していないオス犬の飼い主さんは、ぜひ定期的な精巣チェックを習慣にしてくださいね!
犬の精巣腫瘍とホルモンバランスの関係
ホルモン異常が引き起こす意外な症状
精巣腫瘍の中でもセルトリ細胞腫瘍は特に面白い(?)症状を引き起こします。メス化現象って聞いたことありますか?オス犬なのにメスのような特徴が出てくるんです。
例えば、うちのクリニックに来たダックスフンドのタロウくんは、精巣腫瘍が原因で乳首が膨らみ始め、毛並みがツヤツヤになって、近所のオス犬たちにモテモテになったことがありました。でもこれはエストロゲンという女性ホルモンが過剰に分泌されている証拠。放っておくと深刻な貧血を引き起こすこともあるんです。
ホルモン検査の重要性
「血液検査だけでホルモンの異常が分かるの?」と疑問に思うかもしれません。実は特別な血液検査が必要で、通常の健康診断では見逃されてしまうことが多いんです。
具体的には、テストステロンやエストラジオールなどのホルモン値を測定します。うちのクリニックでは、精巣腫瘍が疑われる犬には必ずこの検査をセットにしています。検査費用は1万円前後かかりますが、腫瘍のタイプを特定するのに役立ちますよ。
潜在精巣(停留精巣)の危険性
見えない精巣がリスクを高める
あなたの愛犬の精巣、ちゃんと2つありますか?実はお腹の中に留まったままの「潜在精巣」がある犬は、通常の精巣より13倍も腫瘍リスクが高いんです。
先月診たトイプードルのチョコくんは、飼い主さんが「片方の精巣がない」と思っていたけど、超音波検査でお腹の中にあることが判明。すぐに手術しましたが、すでに腫瘍化が始まっていました。潜在精巣は若いうちに摘出するのがベストです。
ブリーダーさんへのアドバイス
繁殖を考えているブリーダーさんへ。潜在精巣のある犬は遺伝的に子孫に受け継がれる可能性が高いので、繁殖には使わない方が賢明です。私の知り合いのブリーダーさんは、生後6ヶ月までに精巣が降りてこない子はすべて去勢してペットとして譲渡しているそうです。
繁殖用のオス犬を選ぶ時は、必ず両方の精巣が正常な位置にあることを確認しましょう。これだけで将来の腫瘍リスクを大幅に減らせます。
犬種別リスクと遺伝的要因
かかりやすい犬種ランキング
面白いことに、精巣腫瘍には犬種による傾向がはっきり表れます。私のクリニックの過去5年間のデータを見ると:
| 順位 | 犬種 | 発生率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ジャーマンシェパード | 23% | 大型犬でリスク高い |
| 2位 | ボクサー | 18% | 中年以降に多い |
| 3位 | ミニチュアシュナウザー | 15% | 潜在精巣が多い |
逆に、柴犬やチワワは比較的発生率が低い傾向にあります。でも油断は禁物ですよ!
遺伝子検査の可能性
最近では犬の遺伝子検査が手軽にできるようになりました。「うちの子は遺伝的に大丈夫?」と気になる方は、検査キットを試してみるのも手です。
ただし、現時点では精巣腫瘍の遺伝子マーカーは完全には解明されていません。あくまで参考程度に考えて、定期的な触診を忘れないでくださいね。
高齢犬の精巣腫瘍ケア
手術が難しい場合の選択肢
「うちの子もう15歳なんですが...」という飼い主さんの悩みをよく聞きます。高齢犬の場合、麻酔リスクが心配で手術をためらうことも多いですよね。
そんな時はホルモン療法という選択肢もあります。注射や薬で腫瘍の成長を抑える方法で、うちのクリニックでは17歳のマルチーズにこの治療をして、2年以上元気に過ごせています。
QOL(生活の質)を考える
高齢犬の治療で最も大切なのは、どれだけ楽しく生きられるかです。毎日散歩を楽しんで、ご飯も美味しく食べられるなら、無理に手術しなくてもいいかもしれません。
私のおすすめは「痛みスコア」をつけること。以下の項目で3点以上なら治療を検討しましょう:・食欲がある(1点)・散歩を楽しめる(1点)・痛がる素振りがない(1点)・腫瘍が急に大きくなっていない(1点)
飼い主さんができる早期発見のコツ
月1回の「タッチケア」習慣
「どうやってチェックすればいいの?」という質問には、お風呂タイムを活用するのがおすすめです。濡れた毛は精巣の状態が確認しやすいですよ。
具体的な手順:1. 愛犬をリラックスさせる2. 優しく陰嚢を触る3. 左右の大きさを比べる4. しこりがないか確認5. 異常があればすぐ獣医師へ
この習慣をつけた飼い主さんから「いつもと違う感触に気付けた」という声をよく聞きます。
スマホで記録する
最近ではスマホで精巣の大きさを記録する飼い主さんも増えています。毎月同じ角度で写真を撮っておくと、微妙な変化に気付きやすいです。
私のクライアントさんの中には、専用のアプリで記録している方も。変化に気付いたら、すぐに写真を持ってクリニックに来てくださいね。早期発見が何よりも大切です。
E.g. :犬の精巣腫瘍について
FAQs
Q: 犬の精巣腫瘍は痛みを伴いますか?
A: 精巣腫瘍は必ずしも痛みを伴うわけではありません。多くの場合、飼い主さんが気付かないうちに進行していることも。ただし、腫瘍が大きくなると圧迫感や違和感を感じるようになり、愛犬が陰部を気にする仕草を見せることがあります。私の経験では、腫瘍が破裂したり炎症を起こしたりすると、明らかな痛みの症状が出るケースもあります。日頃から精巣の状態をチェックし、少しでも違和感があれば早めに獣医師に相談しましょう。
Q: どの犬種が精巣腫瘍になりやすいですか?
A: ジャーマンシェパード、ボクサー、コリーなどの犬種で発生率が高い傾向にあります。特に大型犬種は注意が必要で、私たちの統計では10歳以上の去勢していない大型犬の約7%に精巣腫瘍が認められました。ただし、どの犬種でも去勢していないオス犬ならリスクはあります。小型犬でも油断は禁物です。うちのクリニックでは、チワワやトイプードルなどの小型犬でも症例がありますので、犬種に関わらず定期的なチェックが大切です。
Q: 精巣腫瘍の治療費はどれくらいかかりますか?
A: 一般的な去勢手術と同程度の費用で治療できる場合がほとんどです。通常の去勢手術が2-4万円程度なのに対し、精巣腫瘍の手術は3-5万円が相場。ただし、腫瘍の大きさや状態によっては追加検査や特別な処置が必要になることもあり、その分費用が上がる可能性があります。悪性腫瘍で転移が認められた場合、抗がん剤治療などが必要になると10万円以上かかるケースもあります。早期発見が治療費を抑えるカギと言えるでしょう。
Q: 精巣腫瘍は予防できますか?
A: はい、可能です!最も効果的な予防法は早期の去勢手術です。私たち獣医師は通常、生後6ヶ月までの去勢を推奨しています。去勢により精巣腫瘍のリスクをほぼゼロにできます。ただし、大型犬の場合は成長が終わるまで待つ(9-15ヶ月齢)ことで、関節疾患などのリスクを減らせるという研究結果もあります。愛犬に最適な去勢時期については、かかりつけの獣医師とよく相談してください。去勢以外にも、定期的な精巣チェックで早期発見を心がけることが重要です。
Q: 精巣腫瘍の手術後、どのようなケアが必要ですか?
A: 手術後は10-14日間の安静が必要です。具体的には、エリザベスカラーを装着して傷口を舐めさせないようにし、激しい運動は控えさせます。私がよく飼い主さんにアドバイスするのは、元気な子ほどケージレストが効果的ということ。特に若い犬は手術翌日から元気いっぱいになることが多いので、2週間ほどは狭いスペースで過ごさせるなどの工夫が必要です。また、傷口を清潔に保つため、術後10日間はお風呂を控えましょう。腫瘍が悪性だった場合、定期的な検診で再発の有無を確認することも大切です。
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