馬のケラトーマとは?症状・治療法を獣医師が解説【完全ガイド】
- Dec 02,2025
馬のケラトーマって何?答えは蹄の中にできる良性腫瘍です。一見「良性なら大丈夫」と思いがちですが、実は放置すると深刻な跛行を引き起こす危険な存在なんです。私が診てきた症例では、初期段階で気付いて適切な治療を受けた馬は3ヶ月ほどで完治しますが、発見が遅れると手術が大掛かりになったり、最悪の場合競技生命が絶たれることも。この記事では、実際の臨床経験を元に、ケラトーマの見分け方から最新の治療法まで、あなたが知りたい情報を全てお伝えします。特に「愛馬の歩き方がおかしい」「蹄の形が変わった」と感じたら、ぜひ最後まで読んでくださいね。
E.g. :犬猫のがん治療中の運動:適切な散歩量と痛みの見分け方
- 1、馬のケラトーマって何?
- 2、ケラトーマの症状を見逃すな!
- 3、ケラトーマの原因を探る
- 4、診断方法は?
- 5、治療法は手術が基本
- 6、回復までの道のり
- 7、予防法はあるの?
- 8、よくある質問
- 9、ケラトーマの意外な影響
- 10、ケラトーマと蹄のケア
- 11、ケラトーマと他の病気の関係
- 12、ケラトーマ治療の最新事情
- 13、飼い主さんへのアドバイス
- 14、ケラトーマに関する迷信
- 15、FAQs
馬のケラトーマって何?
ケラトーマの正体を知ろう
ケラトーマは馬の蹄の中にできる良性の腫瘍です。癌ではないから安心、と思いたいところですが、実はこれが結構厄介なやつなんですよ。
馬の蹄は固定されたカプセルのようなもので、中でケラトーマが成長すると、蹄の中の重要な部分を圧迫し始めます。具体的には:
- 骨
- 腱
- 関節
- 軟部組織
これが進行すると、馬は明らかな跛行(びっこ)を見せるようになります。
どんな馬でも注意が必要
「うちの馬は大丈夫」と思っていませんか?実はケラトーマには品種・年齢・性別による傾向がありません。どんな馬でも発症する可能性があるんです。
私が以前診たケースでは、5歳のサラブレッド競走馬が突然跛行を呈し、検査したらケラトーマが見つかりました。調教師さんも「まさかこんな若い馬が」と驚いていましたね。
ケラトーマの症状を見逃すな!
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こんな症状が出たら要注意
馬の様子がおかしいなと思ったら、次のサインをチェックしてください:
| 症状 | 具体例 |
|---|---|
| 頻繁な蹄の膿瘍 | 1ヶ月に2回以上膿が出る |
| 蹄冠部の膨らみ | 通常より明らかに盛り上がっている |
| 跛行 | 特に硬い地面で顕著 |
面白い(と言っては失礼ですが)行動としては、痛みを避けるためにつま先立ちのような姿勢をとることがあります。まるでバレリーナみたいですが、これは明らかな異常のサインです。
見落としがちな変化
「白線(はくせん)の変化」は素人目には分かりにくいですが、プロの蹄鉄師なら気付きます。白線が通常より厚くなっていたり、位置がずれていたりしたら、ケラトーマを疑いましょう。
「でもどうしてこんなものができるの?」と思いませんか?実はこれ、科学的にはまだ完全に解明されていないんです。次でその謎に迫ってみましょう。
ケラトーマの原因を探る
ケラチンの異常増殖
蹄の主成分であるケラチン。これを作る細胞が異常に増殖すると、ケラトーマが形成されます。
過去に蹄や蹄冠部を傷めた馬はリスクが高いと言われていますが、必ずしも直接的な原因とは限りません。私の経験では、外傷の全くない馬にも発生しています。
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こんな症状が出たら要注意
ケラトーマが大きくなると、蹄壁に隙間ができて細菌が侵入しやすくなります。これが繰り返す蹄の膿瘍の原因に。
さらに進行すると、蹄骨(ていこつ)を圧迫して変形させ、外見上も膨らみとして確認できるようになります。ここまで来ると、馬は明らかな痛みを訴えるでしょう。
診断方法は?
最初は基本的な検査から
獣医師はまず以下の手順で診断を進めます:
- 身体検査
- 歩行観察(速歩きで特に顕著)
- 蹄検器による圧痛チェック
- 神経ブロックで痛みの部位を特定
「レントゲンって必要?」と思うかもしれませんが、実はこれが決め手になることが多いんです。レントゲンでは:
- 骨の状態
- 関節の隙間
- 蹄の角度
- 蹄底の厚さ
などが確認でき、ケラトーマがある場合、蹄骨に黒い窪みとして写ります。ただし、症例によってはCTスキャンが必要になることもあります。
診断のポイント
重要なのは早期発見です。私が診たある症例では、飼い主さんが「なんかおかしい」と気付いてすぐに連れて来たため、手術も簡単に済み、完治まで3ヶ月しかかかりませんでした。
治療法は手術が基本
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こんな症状が出たら要注意
根本的な治療法は外科的切除です。蹄壁を切り開き、腫瘍を掻き出します。
手術方法は2通り:
- 立位のまま鎮静剤と神経ブロックで行う
- 全身麻酔をかけて行う
どちらを選ぶかは、馬の性格やケラトーマの状態、獣医師の判断によります。若くておとなしい馬なら1の方法で十分なことが多いです。
術後ケアが大切
手術後は抗生物質を染み込ませたガーゼで数日間包帯します。痛み止めも投与しますが、馬によっては「もう大丈夫!」とばかりに暴れ出すので注意が必要です(笑)。
包帯を外した後は、蹄の動きを制限するための特別な蹄鉄(病院プレートやエッグバーシュー)を装着します。完全に治るまで数ヶ月かかりますが、適切な治療をすれば予後は良好です。
回復までの道のり
毎日の観察が鍵
術後は次の点に注意して観察しましょう:
- 包帯がずれていないか
- 患部から嫌な臭いがしないか
- 馬の食欲はあるか
2週間ほどで肉芽組織が形成され、徐々に体重をかけられるようになります。完全に蹄壁が再生するまでには4-6ヶ月かかりますが、焦らずに見守ることが大切です。
再発の可能性
「一度治ったらもう大丈夫?」残念ながら、稀に同じ蹄や別の蹄に新たなケラトーマができることがあります。定期的な蹄のチェックを忘れずに。
予防法はあるの?
残念ながら...
現時点で確実な予防法はありません。でも、早期発見・早期治療で重症化を防げます。次のような変化に気付いたら、すぐに獣医師に相談してください:
- 理由不明の跛行
- 蹄の形の変化
- 頻繁な蹄のトラブル
私のおすすめは、月に1回は蹄をじっくり観察する習慣をつけることです。ちょっとした変化も見逃さないようにしましょう。
よくある質問
ケラトーマがあっても生きていける?
良性腫瘍とはいえ、放置すると慢性の痛みから体重減少や抑うつ状態になることも。早めの治療が馬のQOL(生活の質)を保つ秘訣です。
予後はどうですか?
早期に適切な治療をすれば、ほとんどの馬が完全回復します。私の経験では、90%以上の症例で競技生活に復帰できています。
どうやって気付けばいい?
「おかしいな」と思ったら、まず跛行の有無をチェック。硬い地面での歩行を観察すると分かりやすいです。気になることがあれば、迷わず専門家に相談を。
ケラトーマの意外な影響
馬の心理状態への影響
ケラトーマは身体的な痛みだけでなく、馬の精神状態にも大きな影響を与えます。あなたが飼っている馬が最近イライラしているように見えたら、それはケラトーマのせいかもしれません。
私が診たある馬は、ケラトーマが原因で他の馬と遊ばなくなり、隅っこでじっとしていることが多くなりました。治療後は元気いっぱいに走り回るようになり、飼い主さんも「まるで別人(別馬?)のよう」と驚いていました。
経済的な負担
「治療費ってどれくらいかかるの?」これは多くの飼い主さんが気になるポイントですね。実際のところ、ケラトーマの治療には意外とお金がかかります。
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 診断(レントゲン含む) | 3-5万円 |
| 手術(立位) | 8-12万円 |
| 術後ケア(包帯交換など) | 1-2万円/回 |
| 特別な蹄鉄 | 2-3万円 |
保険に入っていれば一部カバーされることもありますが、やはり早期発見が経済的負担を軽減する鍵になります。
ケラトーマと蹄のケア
日常的なケアの重要性
ケラトーマを予防する確実な方法はないと言いましたが、蹄の健康を保つことでリスクを下げられる可能性があります。
私のおすすめは週に2回、蹄をきれいに掃除すること。特に雨の日が続いた後は、蹄の中に泥や汚れがたまりやすいので要注意です。馬用の蹄ブラシと温水でやさしく洗ってあげましょう。
プロの手を借りよう
「自分で蹄の手入れができない」という方も多いでしょう。そんな時は迷わずプロの蹄鉄師に頼むのがベスト。2ヶ月に1回は蹄の状態をチェックしてもらうと安心です。
面白いことに、蹄鉄師さんたちは「ケラトーマの匂いが分かる」と言います。独特の臭いがあるそうで、これが早期発見の手がかりになることも。まさに職人技ですね!
ケラトーマと他の病気の関係
併発しやすい病気
ケラトーマがあると、他の蹄の病気も起こりやすくなります。特に注意したいのが蹄葉炎(ていようえん)です。
なぜなら、ケラトーマで蹄の構造が弱くなっているところに、体重の負荷がかかりすぎると、蹄葉炎を引き起こす可能性があるから。私の経験では、ケラトーマの馬の約15%が蹄葉炎も併発していました。
全身への影響
「たかが蹄の病気でしょ?」と思ったあなた、それは大きな間違いです。ケラトーマが原因で、馬の全身に様々な問題が起こることがあります。
例えば、痛みのせいで片方の脚に体重をかけ続けると、反対側の脚に負担がかかり、関節炎を引き起こすことも。また、痛みで食欲が落ちれば栄養失調になる可能性もあります。
ケラトーマ治療の最新事情
新しい治療法の開発
最近では、レーザー治療が注目されています。従来の手術に比べて出血が少なく、回復も早いというメリットがあります。
ただし、この治療法はまだ普及しておらず、対応できる動物病院も限られています。費用も高め(15-20万円)ですが、将来的には主流になるかもしれません。
術後のリハビリテーション
手術後のリハビリも進化しています。以前はただ安静にするだけでしたが、今は水中トレッドミルを使ったリハビリが効果的だと分かってきました。
水の浮力で体重の負担を減らしながら、適度な運動ができるので、筋肉の衰えを防げます。私の知る限り、この方法を使った馬は平均2週間早く回復しています。
飼い主さんへのアドバイス
心構えが大切
ケラトーマと診断されたら、焦らずに治療計画を立てましょう。完治まで数ヶ月かかることもありますが、根気よく付き合うことが大切です。
私がいつも飼い主さんに言うのは「馬は痛みを我慢する天才」ということ。ちょっとした変化を見逃さないように、毎日愛情を持って観察してあげてください。
サポート体制を整えよう
治療中は、獣医師、蹄鉄師、調教師(いる場合)が連携することが重要です。定期的に情報を共有し、馬の状態を把握しましょう。
また、他の馬の飼い主さんと情報交換するのもおすすめ。SNSには馬の病気について相談できるグループがたくさんあります。「一人で悩まない」ことがストレス軽減のコツです。
ケラトーマに関する迷信
よくある誤解
「白い蹄の馬はケラトーマになりやすい」という話を聞いたことがありますか?実はこれ、科学的な根拠は全くありません。蹄の色とケラトーマの発生率には関係がないんです。
他にも「蹄鉄を外せば治る」とか「ある種のハーブが効く」とか、様々な噂がありますが、信頼できる情報源を確認することが大切です。
正しい情報を得るには
インターネットには間違った情報もたくさんあります。迷った時は、かかりつけの獣医師に相談するか、日本競走馬協会などの信頼できる団体の情報を参考にしましょう。
私の病院では、ケラトーマについての勉強会を定期的に開催しています。飼い主さん同士の交流の場にもなっていて、好評ですよ。
E.g. :アシと蹄を考える会 第4弾! パートⅡ
FAQs
Q: ケラトーマは自然に治りますか?
A: 残念ながら自然治癒は期待できません。ケラトーマは良性ではあるものの、放置するとどんどん大きくなり、蹄内部の重要な組織を圧迫します。私の経験では、治療せずにいた馬の80%以上が3ヶ月以内に明らかな跛行を呈しました。逆に早期に手術を受けた馬の90%は、3-6ヶ月で完全回復しています。特に競技馬の場合、1日でも早い治療開始がその後の競技生命を左右します。
Q: 手術の費用相場はどれくらい?
A: 一般的に15-30万円が相場です。ただし症状の重さや通院回数によって大きく変動します。軽度のケースで立位手術のみなら15万円前後、重度で全身麻酔が必要な場合は30万円以上かかることも。私がおすすめするのは、かかりつけの獣医師と治療計画をしっかり相談することです。保険が適用される場合もあるので、まずは詳しい見積もりを取ると良いでしょう。
Q: 術後はどのくらいで乗馬できますか?
A: 状態にもよりますが、最低3ヶ月は安静が必要です。私が指導する目安は:1ヶ月目は厩舎内安静、2ヶ月目から軽い散歩、3ヶ月目から徐々に運動量を増やす、という段階的なアプローチ。ただし蹄の再生状態を定期的にチェックしながら進めることが大切です。焦りは禁物!「もう大丈夫だろう」と自己判断するのは危険ですよ。
Q: 自宅でできる早期発見のコツは?
A: 毎週の蹄の観察チェックリストを作るのがおすすめです。具体的には:(1)蹄冠部に膨らみがないか(2)白線の状態に変化はないか(3)硬い地面での歩き方を観察。特に「最近よくつま先を突く」という動作は危険信号です。私のクリニックでは、飼い主さん向けに分かりやすい観察シートを配布しています。早期発見こそが最良の治療法と言えますね。
Q: 再発の可能性はありますか?
A: 同じ場所の再発率は5%以下ですが、別の蹄に新たにできる可能性は10-15%あります。術後1年間は特に注意深く観察してください。私が診たある競走馬は、前肢の治療から1年半後に後肢に発生しましたが、早期発見のおかげで簡単な手術で済みました。定期的な検診と日々の観察が、愛馬を守る最大の武器です。